2015年7月29日水曜日

バロックヴァイオリンって普通のヴァイオリンとどうちがうの?

バロックヴァイオリンって?


バロックバロックヴァイオリンを演奏するようになって何年も経ちますが、今でも毎回色々な方からバロックヴァイオリンって何が違うの?と質問があります。

有名なストラディバリウスの楽器が作られたのはバロック時代で、でもモダンヴァイオリンとして現在は使われていて・・・
一体バロックヴァイオリンとモダンヴァイオリンは何が違うの??

ということで、実際私がバロックヴァイオリンを弾き始めて実感した違いも含めて、ちょこっと解説してみようと思います。


ヴァイオリンって?
バロックヴァイオリンとモダンヴァイオリンの違いをお話しする前に、少しヴァイオリンの歴史をみていきたいと思います。

私たちがイメージする、いわゆる「ヴァイオリン」とよばれるような姿かたちになってから約500年ほど経ちます。
現在知られているなかで、ヴァイオリンを示している最初の絵画は15081510年頃、 ガロファロ(Garofalo)によるもので、 イタリア、フェラーラのパラッツォ・ディ・ロドヴィコ・イル・モーロ(Palazzo di Lodovico il Moro) であるといわれています。































以来、色々な国で使われ、呼び名も様々でした。
ヴァイオリンのことを、プレトリウスGeige、キルヒャーはchelys、メルセンヌはviolonと其々の著書の中に書き記しています。


プレトリウス『音楽大全』(1614-20年)
キルヒャー『普遍音楽』(1650年)
メルセンヌ『Harmonie universelle(1636年)




ヴァイオリンは、生まれた初期のころは声楽曲で音を重ねることと、ダンスの為に使われていたという説が有力です。
その後、(ルネサンス)~バロック時代~古典派~ロマン時代~近現代~現代~と、どの時代においても音楽界の第一線で使われ続けてきました。プレトリウスは、1619年の著書の中で「ヴァイオリン属については、だれもが知っているので、これ以上何かを説明したり、記述する必要はない」と書いているほど普及していました。メルセンヌに至っては、ヴァイオリンのことを、「楽器の王」と呼ぶほどでした。
演奏場所も、部屋→教会→宮廷など→ホールへと時代とともにどんどん拡張され、観客を満足させるために、大ホールの後ろまで音が届くような、大きなよく通る音の出る楽器へと改良する必要性が出てきました。
また、どんどん新しい音楽を人々は求め続け、技巧をこらした曲も演奏できるよう、ヴァイオリン本体だけでなく弓や弦など様々な部分にも改良を重ね、現在のようなモダンヴァイオリンへと変化していったのです。


その結果、バロックヴァイオリンが生まれたころから、音色、音量、使い勝手・・・など色々なものが変化して、その楽器の改良とともに時代に息づいた音楽が生まれ続けています。


モダンヴァイオリンとバロックヴァイオリンの違い。
それは、楽器の作られた時代や場所に関係なく、楽器のネックの角度や弓や弦が当時の仕様になっている為、当時奏でられていたのではないかと思われる音色の出る楽器のことをバロックヴァイオリンと呼び、現在のほとんどのクラシック演奏者が使っている仕様になっているヴァイオリンをモダンヴァイオリンと呼ぶという、ちょっと紛らわしい違いのことです。
全く違う楽器なのかと思われがちですが、根本的には同じ楽器です。弓はかなり違います。

現在のクラシック演奏者は、バロック時代に製作されたストラディバリウスを演奏する際も、当時使われていた状態ではなく、モダン仕様で使っています。紛らわしいですが、バロック時代に作られた楽器でも仕様がバロック時代のものでなければ、バロックヴァイオリンとは呼びません。一方で、現在の楽器製作者が新しくヴァイオリンを作った際、バロック時代の仕様で作ったなら、その楽器はバロックヴァイオリンと呼びます。

音色の違い
どちらも演奏する私の主観からの考えを述べると、バロックヴァイオリンとモダンヴァイオリンは、弓矢とアーチェリーみたいだなと思います。
どういうことかというと、例えば古代ギリシャ人が持っていそうな弓矢は、木をしならせて紐を張ったものだとします。それは、素朴で、軽くて自由自在に動き、威力はそこそこ、使い勝手は使い手の技量がものを言います。一方で、アーチェリーは、弓矢に比べたら人工的で、がっしりとしていて安定性があり、威力は抜群、誰でもある程度は使うことができます。これが、バロックヴァイオリンとモダンヴァイオリンにそのままあてはまると思うのです。
それぞれにいいところがあり、どちらも私は大好きです。


ということで、まずは以下のように5回にわたって少しずつお話ししたいと思います。


2. バロックヴァイオリンの弦は食べられる!?  
3. バロック弓っておもしろい! (モダンバイオリンの弓との違い) 
4. ラの音って442Hzじゃないの? (音楽によって異なる音程とは?)
5. 18世紀のバロックの美学、メッサ・ディ・ヴォーチェって?



0 件のコメント:

コメントを投稿

BLOG DESIGN BY KOTRYNABASSDESIGN